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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

今日で17回目の誕生日を迎えたわけだけど…


「……………嬉しい」


「え…?」


「…………ありがと、亜紀乃…」



今日が一番、幸せだ…。



「……どっ…どういたしまして……学…」



父さん母さんが帰ってきたら、『学』って名前にしてくれたことにお礼を言おうと思った。



「…………晴れた」



今気付いたふり。


「本当だ…」


「…………送るよ」



そろそろ帰さないと。


あっと言う間だった…。
けど、堪らなく幸せな時間だった。



「たかっ…あ、いや、学…?」


「……………なに?」



帰り道を歩きながら、ひらっ…いや、亜紀乃は俺の顔を覗き込んだ。



「私、学の家はうちの先だと思ってて…でも本当は遠回りしてくれてたんだね…
あの…ありがと…」


「…………どういたしまして」



傍にいたいだけだったからそう純粋にお礼を言われ、少し後ろめたくなった。

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