テキストサイズ

寡黙男子

第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*

グタッとしながらそういうと、奈央は顔を引きつらせて私の背中を撫でた。



「まっ、まぁ…言うほど変って…訳じゃない…かも。あはははは」



白々しい…



「もういいよ…」


「ごめん…悪気は無かったの…。あの…本当に…」



奈央が本気で謝れば謝るほど悲しくなってくる。



そんなに変だったかなあ…。奈央が言った通り、学に似て、前髪長くて不思議な雰囲気を醸し出してたから買ったんだけど…。



「学は……『嬉しい』って言ってたもん」



ちょっと拗ねながら、奈央をじっと見たら、奈央はまた顔を引きつらせて笑った。



「はははは…ならいいじゃん…」


「バカにしてるでしょっ…!」


「まさかっ…」



目を細めてムッとしながら奈央をじぃっと見つめていたら、とんとんと肩を誰かに叩かれた。



ん…?誰だろ?
って…噂をすれば学でないのっっ!!


「なぁっ、なっ、何っ!? 」


「………………公式戦近いから…しばらく一緒に帰れない…んだけど…」



えっ…!?



驚いたままフリーズする私を、学は見つめている…かは、前髪が長いから分からないけど…こっちを向いていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ