寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
「幼なじみの危機的状況を救いに来たんだけど?」
は?
何言ってんのこの人…
「頼んでないしっ!」
「可愛くなっ…」
唇を尖らした亮は私に近付いてきて、しばらく止まった後、両手で私の髪をものすごい勢いでわしゃわしゃしてきた。
「ちょっ…何すんのよっ!」
にへらぁ…とだらしない顔をし出した亮のブレザーを掴むと、私はさっきされたのと同じように、そのチャラチャラ金髪をぐしゃぐしゃにしてやった。
「おいっ!俺は亜紀乃と違って毎日ちゃんとセットしてんだからやめろよっ!」
「なっ…何それっ!」
こいつ本当に失礼っ!
私だって、学と付き合いはじめてから、ちょっと朝早く起きて寝癖直すようにしてるんだけどっ!
「うわっ…ワックスで手がベトベトっ…!んも本当に最悪っ!」
ケタケタ笑い始めた亮につられて近くにいた奈央まで笑い出した。