寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
身体を離した亮は、私の後ろの方に目をやって、ニヤリと笑った。
「よっ!学っ!」
「へっ…!」
うそっ…最悪っ…
恐る恐る振り返ると、そこには、私たちの方をじぃっと見ている学の姿があった。
「…………………」
「あのっ…違うのっ…これは別にっ…」
何も言わない学にどうにか弁解しようとするけど、よく考えたら、学はいつも何も言わないから、別にこの状況、どうとも思ってないのかもしれないと思い始めた。
「…………どうも」
えっ…
それだけ発した学に私は目を見開いた。
あわよくば、嫉妬してもらえたりして。
なんて思っていた私の儚すぎる夢が見事に砕け散った。
「……亜紀乃、今日一緒に帰ろうぜっ!」
「はっ? ちょっ…何言ってんの?何で私が亮と…」
「たまにはいいだろ〜?それとも誰かと帰る約束してた?」
うっ…それは…
「してない…けど…でもっ…」
俯いて返事しながら、学の靴を見た。
「一応彼氏に聞いとくかー」
「えっ…」
「学っ!俺今日亜紀乃と一緒に帰ってい?」