
寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
顔を上げて、学を見つめた。
亮と私はただの幼なじみで…本当に何でもない間柄だけど…
でも、いいよ、なんて言わないで…
亜紀乃は俺のものだからって…
そう言って止めて…────
お願い、学…
「…………何で、俺に聞くの?」
学のその言葉に、今まで経験したことがないほど、胸が痛んだ。
「何でって…」
亮もその学の言葉にびっくりしているようだった。
「……それは、亜紀乃がいいなら…いいんじゃないの?」
ひどい…
学って…本当に私のこと、どうでもいいんだね…
「亮…授業終わったら、教室で待ってるから」
「りょーかいっ」
手を振った亮は、ニコニコしながら、自分の教室へと帰って行った。
「ちょっ…ちょっと…高橋くん!? 冗談でしょ?ねぇ…」
引きつった笑いをしながら、奈央は学をみた。
「…………亮なら、大丈夫」
何それ…
亮相手に何か妬かないって…そういうこと?
