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寡黙男子

第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*

不思議だ───


あんなに砕け散っていたのに…



「亮さ、あんた、梨子ちゃんのこと、結局どうやって落としたの?」



机に座っていた亮は、私のことを見ながら、笑った。


どんなに背が伸びても、どんなに着る服が変わっても、どんなに金に髪を染めていたとしても、



やっぱり亮の笑顔は屈託がなくて、まるで幼稚園に戻ったかのような気分になる。



「あんまり、無視されるから、さすがの俺も心が折れたわけよ?」


「で?」


「で、パタリと、梨子の事を追うのをやめてみた」



いよっ!


そう言いながら、亮は、机から飛び降りた。




「へぇ…どれくらい?」


「ん〜半日?」



短っ…


思わずプッと吹き出したら、亮は目を細めて私の方に近付いて来た。



「半日でも、俺は一生くらいの長さに感じたからっ!
この間に梨子が誰かに取られるんじゃないかってちょー不安だったし…っ。やべー思い出したら辛くなって来たわぁ…」

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