寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
本当に苦しそうな顔をしながら、胃の辺りを押さえた亮がおかしかった。
けど、またスっと笑顔になる。
チャラ男らしからぬ、爽やかな笑顔───
「耐えられなくなって、病気になりそうだったから、梨子のところに行ったら、
また殴られた」
「え?」
こいつMなのかな…
だって、あんまり殴られた話を嬉しそうにするから。
「『ストーカーやめるならやめるで言いなさいよっ!』って怒られた」
「……なにそれ…」
「さぁ…俺も未だによく分かんねぇけど」
未だに…?
「『傍にいたらうざいけど、いないとそれはそれでうざい!』って言われて…なんか堪んなくなった」
遠くを見ながら、だらしない顔をした亮を呆れながら眺めた。
結局、結論は“うざい”っていうことに亮は気付いているんだろうか…