寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
突然、
ぎゅっと手を繋がれたと思ったら、引っ張られて、私はよろめいた。
えっ…?
「…………嫉妬…してるから…」
暗闇の中から、ボソボソとした声が聞こえてきて、私は握られている手の先を見つめた。
もしかして…学?
「だから…」
ぎゅっと強まった手の力。
私…今…学と手を繋いでる…?
「オーケーですっ!! じゃあ俺は、愛しの梨子ちゃんのところへいきますので、あとはどうぞ暗闇で仲良くしてください!」
は??
「なっ…ちょっとっ…亮!?」
慌てて声を掛けたら、亮が私の頭をガシガシと乱してきた。
「あれ?本気にしちゃった?亜紀乃ちゃん?」
「なっ…」
うざぁあああ!!!!
「しっしてる訳ないでしょっ!!! 」
クククとバカにしたような亮を追いかけて殴ろうと思ったら、学に引っ張られて、びっくりして振り返った。
「亜紀乃…」
「なっ、なに?」
「………行かないで…」
「作戦大成功〜〜〜!!!!」
遠くで叫ぶ亮の声を聞きながら、有り得ないほど私の心臓は速まっていた。