寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
手が、
勢いよく離れた。
それに私はすごく傷付いた。
ごめん───
学はよくそうやって言うけど…
「っ…!?」
どうして抱きしめるときまでそういうの?
さっきまで亮に抱き締められたのとはまるで違うその感覚。
ぎこちないのに、その温もりに安心する、けれど
やっぱり依然として心臓は破裂しそう。
「まっ、学っ!?」
「……姉貴が…」
姉貴っ…?
「……付き合ってる人の…愚痴をいうから…」
「うっうん…」
何の話!? 全然話しが見えないんだけどっ…
「我慢してたけど…やっぱり苦しい…」
理解が出来ないまま、ただただ抱き締められていると、学は、また、ごめん…と呟いた。