寡黙男子
第4章 二歩目を探る *学の世界*
誠司というのは、確か姉貴の彼氏の名前だ。
だけど、誠司派って、そんな派閥が出来るほど、有名人だとは知らなかったし、その“誠司派”という人たちが、突然姉貴に怒り出す人たちなんだったとしたら…
「………違う…と思う…」
「はぁっ…良かった!」
バッと胸ぐらを離した姉貴はまた、俺のベッドに横たわって、頬杖を付いた。
「ヤキモチも度が過ぎるとうざいだけだから…」
ヤキモチ…
何となく、本で呼んだ事のある感情の名前に俺は、ゆっくりと首を捻った。
「?どうした?」
「いや…」
言いたい事をまとめようと、少し固まっていたら、姉貴はベッドのふちに腰掛けて俺の背中を叩いた。
「もしかして、やっぱり学、ヤキモチやき…?」
「……いや…」
だから…
その前に…
「いやって?え?違うってこと?やっぱり妬く方ってこと?」
「……うん…」
だから、さ…
今…
「は?え?今のうんって何?」
「……うん」
質問に質問が重ねられて、頭がこんがらがっていく中で、また姉貴は俺の胸ぐらを掴んだ。