テキストサイズ

息もできない

第17章 会社に行くのです

しんとしている家の中は前に来た時と同じようにしっかり片付いている


リビングに入りとりあえずカバンを置いてソファに腰掛けてみるけど、どこか落ち着かない


「なに、しよう……」


虚空に話しかけても誰も答えてくれず
しばらくそわそわと辺りを見回した結果


家の中、見てもいいかな?
いい、よね……?


春陽のプライベートな空間を覗き見るチャンスだ、と思って俺は立ち上がった


ちょっとだけ!
ちょっとだけ、だから……!!!


意味もなくそっと寝室の扉を開ける
そこには当然のようにベッドがある


俺も何度かそこで寝たことある
その時には気にならなかったんだけど
春陽はあそこで毎日寝てるんだよね


なんかちょっとドキドキするな…


ベッドにそっと腰掛けて枕に触れてみる


ぅう…も、もう少しだけ……


また意味もなく周りを気にしながらぽふん、と横になって枕に顔を埋めてみる


いい匂い

なんか俺、変態…みたい……


枕に染み付いた春陽の匂いに胸がきゅんとして足をバタつかせた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ