息もできない
第30章 番外編「恋人達の聖夜」
「メリークリスマス、春陽」
更に耳元でそう囁かれれば俺の理性なんて豆腐より脆くなってしまって
「……っ」
「わ!? はる……苦し……ぃ」
直の倍以上の力で直を抱きしめ返した
「ごめん、ちょっとだけ」
「……春陽? 疲れた?」
「疲れたよ。でも、そんなの一瞬でなくなった。嬉しい。ありがとう直、愛してる」
俺が真面目に気持ちを言葉に表すと、腕の中の直が心底嬉しそうに「えへへ」とモゴモゴ笑ったのが聞こえる
「俺も、愛してるよ春陽」
その言葉に更に胸を撃ち抜かれた俺は、直の顔を上げさせ唇に自分のそれを合わせーーー
ようとして、止めた
今したら完全にスイッチ入る
「……春陽、お腹すいた? ご飯食べる?」
「あぁ、そうだな。今温めてくる」
「……」
俺が直から離れて食事を1度キッチンへ運ぼうとすると、後ろから近づいてきた直にちょん、と服の裾を引かれた
「ん、どうした?」
「……」
上目遣いに見上げてくる直
「……」
さっきキス途中で止めたのバレてたか
でも、俺が止めた理由もわかってるんだろ?
「……食事は?」
「俺はべつにお腹すいてないし、食事はすぐ腐ったりしない……早く」
まったく、おねだり上手め
「メリークリスマス、直」
俺は直に向き直ってキスをした