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息もできない

第17章 会社に行くのです

午後の仕事を夢中でやって
終業時間になる

春陽に会えないから仕事が終わっても家に帰る気になれなくて


残業して行こう
ちょうどこの書類あと少しだし


俺は少しの間無心で仕事をしていた



二時間後
「はーーー…終わった………」

ぐぐ、と丸まっていた腰を伸ばす
すると入口の方から声が聞こえてきた

「直」


この声が、春陽だったらいいな
なんて考えてあり得ないことだって心の中で首を振る
間違えるはずないこの声は


「圭太」


幼馴染の声だから


俺は頭の中がクリアになって行くのを感じた
妙に冷静だ

圭太に会うのはあの時以来


春陽は圭太をクビには出来なかったって少し悔しがってたっけ


圭太が俺のデスクに近づいてくる


「何か用ですか?」
「…」
「…」
「前みたいに普通に話してくれ」
「無理です」
「どうして」
「さあ?」


そんなこと、自分で考えろ


でも、心のどこがでは
甘えたい

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