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息もできない

第17章 会社に行くのです

大崎さんと話している春陽がふと俺の方を向いた

「!」

少し驚いた顔をした春陽を見て俺は焦る


やばい
顔に出てたかな……


俺は春陽たちから目を逸らして心を落ち着ける
いつも通りの俺に、外用の俺に戻る

絶対、春陽の方は見ない


すると大崎さんが

「あら、もうこんな時間。急いで戻らないと。長話してごめんなさいね」
「ーいえ」

春陽の返事が一瞬遅れた気がした


俺の方に気を取られてたのかな
俺が酷い顔してたから、心配してくれたかな


「谷口さん、行きましょう」
「はい」

声をかけられてパッと顔を上げると春陽は大崎さんに向かって微笑んでいた


「ありがとうございました」


俺の方気にしてたとか
そんなわけない、か


俺が店を出る時、近くに来た春陽が俺に声をかけようとしたのか息を吸い込んだのがわかったけど


「すいませーん、会計お願いしまーす」


と店内から声がかかって

「はい」

と春陽は行ってしまった
背中に春陽の視線をちょっとだけ感じたけど

無視した

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