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息もできない

第20章 大崎さんの

駅まで歩く間、目に入るのはたくさんのカップル


最近は小学生でも恋人ができる時代だもんな
それなのに俺は………


隣に誰もいないことに肩を落とす


春陽は今何してるんだろ
仕事かな
それとも…


だんだんマイナス思考になっていく癖をどうにかしなくちゃ、と軽く首を振って、また家の模様替えのことを考え始める


そして駅で改札が見えてきたその時少し離れた俺の前を横切った1組のカップル

「…………」

ついさっきまで考えていた俺の恋人

だった人
春陽、と大崎さん


二人は腕を組んで歩いていた



嫌なんだけど
もちろんショックなんだけど

でも
少しだけ
ほんの少しだけ


その衝撃に慣れてしまった自分がいて


俺はそのことになによりショックを受けた


「………帰ろ」

俺が一瞬止めた足をまた動かそうとすると、後ろから声をかけられた

「すいませーん」

振り返ってみると顔も知らない女の人

「はい?」
「あのー、今ってお一人ですか?」


もしかしてこれって


「ていうか荷物めっちゃ持ってますね。手伝いましょうか?」


ナンパ………


俺が結構落ち込んでいる時に限ってこういう人話しかけてくるよね

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