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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

その後数時間俺の涙は止まることなく、止まった頃には夜になっていた


春陽が俺の目蓋を優しく撫でながら笑う


「はは、直目ぇ真っ赤」
「うぅ…目蓋重い…目あかない」


俺が目を「一」にしながら苦しんでいると、春陽が「ちょっと待ってて、蒸しタオル持ってくるから」と軽く目蓋にキスをしてから立ち上がろうとした


む、今俺から離れるとか、許せない…!


俺は「うぬ…」と春陽に抱きつく
そんな俺を見て春陽は呆れるなんてことなく


「なにそれ、なんの鳴き声?可愛すぎ」


と抱き締め返してくれた
でも


「でも、直一瞬離して?蒸しタオルと湿布持ってこないと」


と言う


湿布?別に肩もこってないし、腰も痛くないけど


「なんで湿布?」


俺が率直に疑問をぶつけると、春陽は俺のちょっと前に撫でたのとは逆の頬を撫でた
するとそこに刺すような激しい痛みを感じて


「痛っ…」


思わず声を上げてしまった
手が触れるか触れないかってぐらい優しい手つきだったのにも関わらずここまで痛いだなんて


顔を上げると春陽は俺より痛そうな顔をしている


「それ…ずっと気になってた。何したの?転んでもそんな大きな痣にならないよね?………誰かに殴られた?」

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