テキストサイズ

息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

そう言うと春陽は驚いた顔をした


「そんなの…」
「できない?俺のことは束縛したいほど好きなわけじゃない?」


躊躇うような声を出した春陽に俺は不安そうな顔をわざとしながら言う

すると春陽に苦しいほど強く抱き締められた


「…………いいの?」


春陽から小さな声で問われる


「いいよ。春陽になら。俺も同じぐらい束縛するから」


俺の言葉に、春陽は嬉しそうに微笑んだ
気がした


「あー…もう、可愛すぎるだろ」
「うへへー」


抱き合ったままパタパタ脚を動かしたりじゃれていると春陽が急に止まった


「んー?どしたの?」
「直、引越し…どうする?」
「あ………」


そういえば、引越し前日にあんなことになったから…


「荷物、かたしちゃった…」


俺がしょんぼり視線を落としながら答えると春陽が優しく頭を撫でてくれた


「俺のせいなんだからそんな顔しないで。荷物まとめるの手伝うから、すぐにでも引っ越してきて」
「そんな急いでるの?」
「少しでも直と離れてるのが不安なんだよ」
「!!」


嬉しくて顔がにやける


「うん!!!すぐにでも行きたい」
「明日荷物準備に行く?」
「……え」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ