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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

少しだけそのままじっとしていると春陽が声をかけてくる


「話して?」
「うん?」
「大崎さんとのこと」
「あー…」


俺は思い出しながら

大崎さんの地元のことから始めて
男四人に襲われかけたことも少しだけ
それから仁くんが助けてくれたことも
仁くんが大崎さんに話してくれて、バックアップがなくなった大崎さんは春陽を繋いでいられなくなった
ってことも…


話してる間から俺を優しく抱き締めていた春陽は、俺が話し終わると悔しそうな声を出した


「あー…くそ」


俺の頭の上にあったはずの春陽の顎が俺の頭のてっぺんに軽く乗せられた


「春陽?」
「ん。なんか…俺ってだめだなって思ってさ。これもその男達に殴られたんだろ?」
「だめとか、そんなことないよ?」


俺がそう言っても春陽は納得いかないみたいで、黙ってる


「直」
「ん?」


抱き締められてた腕に少し力がこもる


「俺、もっと頼れる男になるよ」


俺は目の上のタオルを退けて振り返る
そして春陽の胸に顔を埋めた


この感覚も久しぶりで幸せ…


ちょっと変態みたいなんだけど、春陽の汗の匂い?体臭?とかを感じるだけでもう胸がきゅんきゅんして


「春陽は十分頼れる人だよ」


俺は顔を上げて微笑んだ


「あとは、俺のこともちゃんと束縛してくれれば完璧」

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