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息もできない

第23章 今度は俺?

久しぶりに乗った自分の車はいつもと変わらず心地よく走ってくれる

頭に叩き込んだ行き先を思い出しながら車を走らせていると、助手席に座っていた直が話しかけてきた


「それで?今日はどこ行くの?」


そろそろ教えて、と言うように覗き込んでくるから俺は「んー……」と唸りながら目的地付近で有名な地名を挙げた


「へぇ。春陽観光地とか行くの好きなの?」
「嫌いじゃないよ。直は?」
「俺あんまり旅行とか言ったことない」
「それじゃあ今度二人で温泉でも行こうか」


目を輝かせながら頷く直を横目に見て笑いながら一時間と少し車を走らせた


ここからなら歩いていけるだろう、というくらいのところにあった駐車場に適当に車を止めた

外に出ると直が伸びをしている


ずっと座りっぱなしだったから疲れたかな?

それにしても、いいところだな
海の近くか


駐車場からも一望できるほど近くに海が広がっていて、天気のいい今日は水平線までが綺麗に見渡せた


「春陽。行き先は決まってるの?」
「うん。ちょっと歩くけど大丈夫?」
「全然大丈夫」
「じゃあ行こうか」


俺は景色を目に焼き付けるようにして住宅街へと歩を進めた


手にはやけに汗が滲んでいた

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