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息もできない

第25章 息もできない

『みんな直のこと見てるね?早く家に帰りたくなってきた』


俺のことを見てるってところには同意出来ないけど、早く帰りたいってところには大賛成

せっかくのデートだからそんな勿体無いことしないけど


たった一通のメールで俺の機嫌を元に戻した春陽に『俺も』ってメールを返して、俺は微笑んだ


「ご飯何食べようか?」


そしてそこで春陽は「あ」と何か気がついたような顔をした


「どうしたの?」
「ん?……いや、やっぱり家に帰れば良かったかなって」
「なんで?」


春陽は顔を恥ずかしそうに手で覆った


「……また直が誰が作ったかもわからないような飯食うんだなって」


今回の旅行で何度も聞いたその嫉妬に俺はまた頬を緩めるけど


「何度も言われたのに、何で急に照れてるの?」


俺が春陽の頬を覆った手の隙間から頬をつつきながら聞くと
春陽は俺に半分背中を向けた


耳まで赤い


「ーーーられるーーーって……」
「え?」


春陽が突然呟いた言葉を聞き取れなくてもう一度、と聞き返すとさっきより少し大きな声で言われた


「これだけ何度も言ったら、呆れられると……思って……」
「!!」

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