息もできない
第27章 番外編「夏に気になるアレ」
「ぇ……」
俺?だよね
「うわ可愛い〜」
「いやイケメンだろ」
「やべぇ俺こんな綺麗な奴に会ったことねぇわ」
口々にそう言う男の人たちは俺の近くにあった日焼け止めに目を留めた
「ん?お兄さんの?」
「そ、う……です?」
突然だし気を抜きすぎてたせいで上手くスイッチが切り替わらない
「お兄さん肌白いもんね。そういう人って焼くと痛くなっちゃうんだよね」
「俺たちが塗ってあげるよ」
「背中とか塗りにくいっしょ?」
そして3人のうち1人が日焼け止めを取って手に出した
えっ……
ちょっと待って
塗ってあげるって……!?
「……っあ……!」
背中を滑る手に思わず声が出てしまった
「なにそれ可愛い!!」
「やべー勃ちそ」
「もっと聞かせてよお兄さん」
ぬるぬると手を背中に滑らされてくすぐったい
「ぅ、ん……やめっ……」
助けて春陽!
そう思ったその時
「何してんの。お前ら」
横から明らかに怒った声が聞こえてくると同時に身体を引き寄せられた
俺を腕の中に閉じ込めたその人はもちろん春陽
春陽が男たちを一睨みすると、男たちは「なんだ?こえー」「空気読めよ」などとぼやきながら去って行った
「春陽!ありがーーー」
「ホテルに帰るよ、直」
「え?」
お礼を言おうとする俺を遮ってそう一言だけ告げた春陽は、荷物を持ってさっさと歩き出しまう