息もできない
第30章 番外編「恋人達の聖夜」
疲労感でおかしくなる思考を自嘲しながら歩き、漸く俺たちの住む部屋の前
寒さで冷たくなった鍵に指を冷やされつつ部屋に入ると
「?」
部屋には灯りが
もしかして、直起きてる?
いや、起きてたら声ぐらいかけてくれるか
考えて、1つそれらしい答えに行き着いて胸が温かくなった
もしかして、起きててくれようとして寝ちゃった?
廊下を歩いてリビングへ向かうと、途中で直が机に突っ伏して眠っているのが見えた
やっぱり
ほんと、可愛い……な……?
だが、進んでみると俺の考えは半分しか当たっていなくて
これ、って
直の眠っている机にはこれからパーティだ、と言わんばかりの豪華な食事が並んでいた
俺のために?
「…………ぅ、ん……はるひ……?」
俺が目の前の事態に呆然としていると、眠っていた直が目を覚ました
まだ眠いのか目を細く開けた直が俺を見つけて微笑む
「おかえり。仕事お疲れ様」
あ、今
胸が鳴る音が聞こえた
可愛くて
死にそう
俺は理性を必死で保ちながら「ただいま。直もお疲れ」と声をかける
すると、徐に立ち上がった直が俺にぎゅう、と抱きついてきた