片想いの行方
第16章 治らない傷
ヒメが俺達を見つける前に
商店街の入り口の手前で、2人が一緒に歩いてる姿が目に入っていた。
両手いっぱいに屋台で買った袋をぶらさげて、香月がヒメに向かって杏子飴を差し出して。
ヒメがそれを笑顔で受け取った。
あの2人…
いつのまにあんなに仲良くなっていたんだ…?
それに気付いたのは、あの数学の自習時間だ。
後ろのやつに呼ばれて振り返った時、たまたま目に入ったヒメが
香月と会話しながら笑っていた。
… “あの時 ” 以来、ヒメの本当の笑顔を見ていなかった俺は
久しぶりにその姿を見て驚いた。