片想いの行方
第16章 治らない傷
……香月…、あいつもよく笑うやつだったんだな…
正直、同じクラスになってから話したことはなかったけど
いつも図書室の窓から何かを見ている姿が目に入っていたから、俺は毎日決まってそうしている香月の事が、少し気になっていた。
それが、泳ぎたいという理由からだったことに、俺は興味を持った。
そして…プールに入るのも怖がってた香月が、2回のスクールだけでどんどん泳げるようになっている。
つーか、一生懸命すぎるだろ。
どれだけ集中力あるんだよ。
香月が笑うと陽菜も喜ぶ。
…プールが嫌いで泣いてばかりいた陽菜が、先週のスクールには誰よりも先に来て、俺と香月を待っていた。
そうさせた香月は…
すげーな………
俺は花火を見ながら、香月の泳ぐ姿を思い出していた。