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片想いの行方

第20章 彼の勇姿

パァァンっとピストルが鳴り響き、選手達が一斉にプールに飛び込む。



館内の歓声がさらに大きくなった。



水泳教室のみんなも、もう総立ちで蓮くんの名前を叫びながら、手をブンブンと振る。






「……………っ……」







あたしは、立つ事も、声を出すこともできずに





一瞬にしてその姿に目を奪われた。










図書室から見ていた練習の時





水泳教室で優しく教えてくれた時





その時とはまるで違う、戦う彼の姿がそこにはあった。






まるで水と一体化したように、前へとひたすら進む蓮くんは



あまりにも綺麗で、美しくて




熱い想いがこみ上がってきて



あたしの全身は、いまだかつて経験した事のない、痺れる程の衝撃で包まれていた。

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