片想いの行方
第20章 彼の勇姿
「………! いけるんじゃないか…!?」
新藤さんの声でハッと我に返ると
折り返した最終レーンで、蓮くんと隣りのコースの人が飛び抜けていた。
「わぁぁ! 一騎打ちだぁ!!」
「蓮せんせいがんばれーー!!」
みんなのボルテージが最高潮に達している。
緊張で見てられないのか、陽菜ちゃんはあたしの腕にしがみついて、ギュッと目を閉じていた。
「………っ…蓮くん……!」
絞り出すように、ありったけの声を出す。
「蓮くん………! がんばれ………!!」
残り10メートルで
蓮くんの長い手が隣りよりも前に伸びて………
誰よりも先に、蓮くんはゴールの壁に触れた。