片想いの行方
第22章 ゆらめき
外から見えないように、プールは四方を高いコンクリートの壁で囲まれている。
さすがの蓮くんも、さっきのフェンスみたいに飛び越えるわけにはいかないだろうし……
すると、蓮くんは壁の端にあるドアに向かって歩き出して
……ガチャ。
「…………!?」
一瞬にしてドアを開けた。
えーー!?
「ど、どうして開いたの?」
「カギ持ってるから」
「な……! な、なんで持ってるんですか?」
「俺がいつも1番最後まで残って泳ぐから、顧問が信用して渡してるんだよ」
蓮くんは手の中でカギを揺らして。
イタズラっ子の顔をして笑った。