片想いの行方
第28章 目を覚ませ
「……………!」
俺のすぐ後ろに、同じく自転車に乗ったヒメがいた。
……香月は、いない。
「………なにして……」
「何って帰ってんだよ」
「……! つーか、なんでここに……」
「なんでって帰り道なんだから当たり前だろーが。
なんでここにって、それを言うならお前だろ。
大事な試合直前のくせに、よゆ~だなー」
ヒメの嫌味に、俺はつい反応する。
「…誰かが意味不明な事を言いやがるから。
集中できねーんだよ」
「なんだよ、自分のスランプを人のせいにするわけ」
ヒメは自転車にまたがったまま、俺の横に並ぶ。
そして、ニヤッと笑った。
「…女の事くらいで泳げなくなるって、お前どれだけ真面目なんだよ」
「……………!」
ヒメの言葉を聞いて、さっきの怒りがぶり返してくる。
俺はヒメを睨みつけた。