片想いの行方
第30章 1番好きな人
「……みんな、幸せになればいいのにね…」
「はぁ?」
あたしが窓の外を見ながら呟くと、ヒメが振り返った。
「みんなが好きな人に、好きになってもらえたら、いいのになって思ったの」
蓮くん。
ヒメ。
アンナ。
新藤さんも、陽菜ちゃんも。
……優香さんも。
なんで急にそんな事を言い出したのか、自分でもわからない。
だけど、この時のあたしは、なぜかそう思っていた。
「アホだなお前は。
全てがそんな上手くいくわけねーだろ」
ヒメがため息をついて続ける。
「誰かの恋愛がうまくいったら、その陰で誰かが泣く。
…そんなのよくある話だろ。
1番好きな奴と一緒になれる方が
奇跡に近いくらいなんじゃねーの」