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片想いの行方

第31章 片方のピアス

「………何しに来たのよ」






俺の顔を見ずに、優香が口を開く。





「お前こそ、なんでこんな所にいるわけ。

大事な彼氏がまさに今、都大会で泳いでるんじゃねーの」



「………………」




俺の言葉を聞いて


しばらくの間沈黙していた優香が、ふうっとため息をついた。





「私、水泳に興味無いもの。


それに。


引き離した張本人のくせして、しらばっくれないでよ。


……蓮は、彼氏じゃなくて



4日前から、 元彼氏」





「へぇ、ついにフラれたか」





「ええ、誰かと誰かのせいでね」




俺は小さく笑った。





嫌な事があったり、悩んだりすると、いつも優香はここに来ていた。



優香に笑顔は無い。



ターコイズのネックレスは首から下げたままだけど



膝の上に置いた手のひらに、もうひとつのターコイズが光っていた。

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