片想いの行方
第31章 片方のピアス
「……いつから気付いてたわけ?」
優香は相変わらず俺を見ないで、川原に視線を向けたまま言った。
「まさか、私が蓮を部屋に呼びよせて、あなたに見せたあの時からなんて言わないでよ」
優香の言葉に、俺は笑う。
「いや、もっと前だ」
「……!」
「俺と付き合いだしてすぐ、蓮も交じって遊ぶようになってから。
度々蓮に色目使ってただろ。
バレバレだっつーの」
その攻撃に蓮が単に気付いていないのか、敢えてかわしてるのかは、結局分からなかったけど。
優香はふっと笑った。
「…そう。
やっぱりあなたには敵わないわ。
全てお見通しだったってわけね」
「当たり前だろ。
お前が俺と蓮を両天秤にかけてても
その当時の俺は、優香の事をずっと見ていたんだから」
「…………!」