片想いの行方
第31章 片方のピアス
優香がやっと俺の方に振り返った。
俺はニッと笑う。
「お前は性格が悪いが、顔と体はいいからな。
中坊の俺が童貞を早い段階で卒業できたことには、感謝してるよ」
「……………っ」
優香が顔を歪ませる。
そう、こいつはもともとこんな顔をしてるんだ。
あんな気持ちの悪い作り笑顔をする奴じゃない。
……心から素直に笑うやつは、あんな仮面のような顔にはならない。
「お前だって分かってただろ。
俺やお前と違って、蓮はピュアなんだよ。
そんな男を、お前の小さな欲望だけで繋ぎとめることはできない。
…あいつを惚れさせられるのは、同じく心の綺麗な女だけだ」
優香の髪に、俺は指を絡ませる。
「…しっかり正面からフラれたんだろ?
もう諦めろよ。
寂しいなら、俺が傍にいてやるから」