片想いの行方
第35章 いつかのお返し
陽菜ちゃん達にバレないように、そっと研究室を出る。
外階段を降りて、校舎の間を抜けると
新藤さんの言った通り、真ん中に噴水がある芝生の広場に出た。
「わぁー♡ すごい!
大きくてキレイだねー!」
思わず大きな声を出したあたしの目の前に
たくさんの装飾が施された、立派なクリスマスツリーがキラキラと光っていた。
すごいなー!
大学の中にこんな素敵な場所があるなんて。
白い息を空に向かって浮かべながら、じっとその輝きを見つめていると
「美和。 こっちに座ろう」
クリスマスツリーのすぐ近くにあるベンチに座って、蓮くんがあたしを呼んだ。
その両手には、温かい飲み物が握られている。
さっき研究室を出るとき持ってきてくれたんだー!
蓮くんのさりげない優しさには、いつも胸がキュンってする。
「…………うん♡」
あたしはニコッと笑って、蓮くんの隣りに座った。