片想いの行方
第35章 いつかのお返し
「蓮くん、来年の4月からここに通うんだね。
こんな有名なところ、本当に凄いね…」
あたしはぐるっと周りを見渡す。
今年の夏で部活を引退した蓮くんには、色んな大学から推薦状が届いてたみたいだけど
蓮くんは迷わず、新藤さんと同じこの大学を選んだ。
都内で指折りの、難関で有名な大学だ。
「まぁ、つってもスポーツ推薦だからね」
蓮くんはそう言って笑ったけど
成績優秀な蓮くんは、スポーツ推薦だけではなく、特待生として内定を決めていた。
面接だけの推薦入試で決まったあたしとは大違いだ。
本当に、凄すぎるよ……
「美和も内定が出たから、卒業までもう勉強しなくていいな」
「………うん………」
あたしは小さく頷く。
苦手な勉強をしなくていいのは嬉しいけど
あたしは不安な想いを2つ抱えていた。