片想いの行方
第36章 心からの笑顔
………ヒメがみんなの前で、何の躊躇いもなく涙を流した事を
俺は、同じクラスの中野から聞いた。
中野とヒメと俺は、同じ中学だったから
ヒメが人前で泣くなんて、考えられない事だった。
何かに悩んでるなら助けてやりたいと言った中野に
俺は何も答えられなかった。
ヒメが泣いたその日は、俺が都大会で優勝した日だったから
その涙の理由は
考えなくても、分かってしまった。
「……………………」
俺はふっと笑う。
美和と付き合ったその日から、俺はもうあいつの事が気になっていて
美和とヒメがいつ近付くのかと、気が気じゃなかった。
だけどあの2人は、俺が心配するまでもなく
必要以上の会話は無く、3年になってクラスが離れてからは、もう他人のように関わらなくなっていた。
………お互いをワザと避けて、不自然なほどに。