片想いの行方
第38章 最後に、もう一度
麗子さんはバッグからハンカチを取り出すと、そっとあたしの手に乗せた。
「……若干ハタチを超えただけの私から。
経験上からの思想を言わせてもらうとすればね」
麗子さんは、一瞬真顔になる。
「……もっと、高校生らしく、バカになって良い!」
「………!」
その言葉に、あたしは麗子さんを見る。
アンナも麗子さんを見つめた。
「美和ちゃんも、アンナも。
蓮くんだってうちの弟だって。
なんだかんだいって、今日まではまだ高校生で、18歳なんだよ。
これから先、何年生きると思ってるわけ?
大人になるにつれて、いろんな制限や規律が増えて、周りを気にすることばっかりになるらしいよ。
……自分の想いに正直に行動できるのって、この先どんどん少なくなるんだから。
今の決心や事実が、実は単なる思い込みで、将来全く違う結果になったりするんだよ」