片想いの行方
第38章 最後に、もう一度
あたしとアンナが食い入るようにその言葉に聞き入っていると
「…あはは。
どうも私は毎回、説教臭くなるからダメだね」
麗子さんはまた笑顔に戻った。
「何が言いたいかというとさ。
今、無理やり答えを決める必要があるかってこと。
いいじゃない、2人とも好きなら好きで。
人生で2人同時に好きになる人と出逢えたなんて、むしろ儲けもんよ?」
「…………!」
「ほんの少し、欠片でもいい。
2人の蓮を好きな気持ちの、どちらか片方に、少しだけでも強い想いがあるなら
無駄なことは敢えて考えないで、正直にそいつの胸に飛び込んだらいいのよ。
それでやっぱりってなったら、また1人になって。
もう1人のところに行けばいいわ。
私は決して、それが優香の2人を誑かすこととは違うと思う。
だって、現にあの2人は美和ちゃんに惚れてるんだから。
本人たちも周りも、ごちゃごちゃ言う資格なんて無いでしょ?」