テキストサイズ

片想いの行方

第44章  『元気だよ』

アンナの低い言葉に





私は一瞬立ち止まったけど





すぐに明るい声を出す。







「元気だよ」



『本当?』



「うん、仕事も忙しいけど楽しいし、充実してる。

だから大丈夫だよ」



『……そう、ならいいんだけど。

何かあったら、いつでも電話してよね?』





アンナの言葉にもう一度お礼を言うと





私は静かに電話を切った。







ちょうど家の前に着いたところで、空を見上げる。






「………………」






雨が止んだ雲の間にも





星はひとつも見えなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ