片想いの行方
第51章 制裁
「美和」
ふいに一条さんに呼ばれて、私はハッと我に返った。
慌てて立ち上がり、テーブルの前に立つ。
「はい、何でしょうか」
「このスープ、すごく不味かった。
次から絶対に作らないでくれ」
……………
一条さんは、いつも何の躊躇いも無く、口に合わないものは不味いと言う。
……また、増えたな……
遅刻をしたあの日から、作れないメニューは増え続ける一方だ。
「なんだ。
言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「……いえ。
次から気をつけます」
私はお皿を重ねて、そのまま向かい側のキッチンへ行くと
スープを捨てて、その他を片付け始めた。
………あの日、ヒメが美味しいと言ってくれたから。
その言葉が、私の心を救ってくれたから。
いいんだ。
早く終わらせて、早く帰ろう。
「……!」
あ……
そうだ、ひとつ言わなきゃ……