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片想いの行方

第55章 変わらない“2人”



…………………………………………………



「ヒメ! 待ってよ」




駅から少し離れた、イルミネーションが続くメイン通りで、その後ろ姿に声をかける。



離れてても、後ろ姿でも



通り過ぎる人達がちらちら振り返って、目立つ彼を見ているから、すぐに見つけられた。




「……っ 待ってってば……!」




コートのポケットに入れたその腕を掴むと。


ヒメはゆっくりと振り返った。



……う゛……

機嫌悪さMAX……




「……ご飯食べに行こうよ……」




私がポツリと話すと、ヒメは低い声を出す。




「蓮と行けばいいだろ」


「……っ だから、蓮くんとは本当に偶然逢ったんだってば。
蓮くんの本社、ここからすぐ近くなのヒメも知ってるでしょ?」


「蓮と一緒に居たいって、顔に書いてある」


「……………!」




ヒメは私から目線を外して、続ける。




「バレバレなんだよ。
さっさと戻って、恋人時代の思い出でも語ってくれば?」



………何それ。

何でそう勝手に決めつけるのよ………




「ドタキャンされても、俺には代わりの女なんていくらでもいるから。
気にせず………」




私が掴んだ手に力を入れたのに気付いて、ヒメが話すのを止めた。




「………………」





……なんだろう、この気持ち。


ダメよ、美和。


ちゃんと頭の中で、整理しなきゃ。



だけど



私の中で、何かがふつふつと沸いてきて



私の中で、何かが外れた。

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