片想いの行方
第55章 変わらない“2人”
「………………」
「……………?」
ヒメがじっと私を見下ろす。
「……美和、今のもう1回言ってみ」
「………え? ……だから………」
……………
…………ハッ!!
一瞬で我に返る。
「……ち、違…っ
私だけを見てってのはそういう意味じゃ……」
「じゃあどういう意味?」
ヒメはさっきの不機嫌な顔から一変、ニヤッと笑う。
「お前、俺のナンバー1になりたいわけ?」
「そ、そうじゃなくて、今日って言ったでしょ!」
「抱いていいなら考えてやってもいいぜ?」
「……ばかっ!///なんでそんな話になるのよ」
体の熱が上がって、自分の顔がみるみる赤くなるのを感じて
私は慌ててヒメから手を離した。
興奮してるからって、何心にもないこと口走ってんのよあたし!
今日はお礼をしたい。 それだけ言えば良かったのに……
すると
「……ははっ。 どんだけ元気なんだよ」
ヒメが急に吹き出した。
「お前、喋り方が高校の時と一緒だな。
成長してねー」
「……………」
……そのセリフ、そっくりそのまま返したい。
さっきまでの、機嫌の悪さはどこへ?
私は笑い続けるヒメを唖然として見つめながらも、自分を振り返った。
……確かに、こんなに感情的になって大声で話すのは久しぶり。
一条さんの時の、泣いてばかりだった時と比べると、その差に驚く。
だけど本来、私はこーいう人間なんだ。