片想いの行方
第68章 ☆蓮愛相談室
『日本にいないなら結構。
起こして悪かった。じゃあな』
「おい、ちょっと待て」
電話の趣旨を言わないまま、勝手に切ろうとするヒメ。
だけど、悲しいくらい
その理由がなぜか、俺には分かってしまう。
「何焦ってんだよ。
1番欲しいものを手に入れたんだから、自慢の嫌味くらい言い残していけば?」
『俺は誰かさんと違って、傷口に塩を塗るマネはしないんでね』
「ご心配なく、ちゃんと癒えてるから。
で、何があったの?」
今頃浮かれてるんだと思っていたから
冒頭の一言の切羽詰まった感じが、妙に気になってしまった。
……俺ってどれだけお人好しなんだろう。
『………大した事じゃねーよ。
ただ、蓮だけだと思っていた輩が、他にもうじゃうじゃ湧いてるって話』
ヒメの声のトーンが落ちる。
やっぱりな。
そんなことだろーと思った。
「そりゃ湧くだろ。
この俺が惚れた女だ。
それにあいつ、見違えるように綺麗になってたし」
『………………』
ガラス窓がしっかり閉まってる事を確認して、俺がそう話すと
ヒメは押し黙り、何か考えてるようだった。