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pure love

第5章 兆候?

勝負はフリースロー。

走り回らない分、俺にだって勝ち目はある筈。


「先にシュート3本決めた方の勝ちだからな」

余裕の表情を見せる平野。


「蓮くん、ダメだよ‼︎

平野くんはバスケ部でしょ? こんなのズルイよ」

俺の病気の事を知っている凛だけが、必死に止めようとしている。


「任せとけ、絶対凛は渡さないから」

そう言って、一本目のシュートを難なく決める平野。

さすがはバスケ部だな。

でも、

……その言葉、そっくりそのまま返してやるよ。


ニヤニヤと見下した笑みを浮かべる平野を、気にする事なく俺はフリースローラインへと立った。


「……お前バスケやった事あんの?」

リングに向かう俺の、真っ直ぐでブレのないフォームを見た平野が眉を顰める。


「……ない」

俺の答えと共に放たれたシュートは、シュッと小気味良い音を立ててリングを通った。


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