テキストサイズ

pure love

第5章 兆候?

シュッ

ボールがリングをくぐった音…

クラスメイトの歓声…


なんか随分と遠くに聞こえる。


俺の視界には体育館の天井がぼんやりと映っていて、

背中から伝わる床の冷たさに、

自分が体育館の床に大の字に倒れたんだとようやく気付く。



「蓮くん⁉︎ 」

あー…凛の声、完全に涙声だ……。

大音量で鳴り響く心音の合間から聞こえたその涙声に、遠ざかる意識が引き戻された。


「蓮⁈ 」

グイッと半ば強引に抱き起こすのは、声からして雅也だろう。

閉じ掛けた瞼を再び開く力すらなくて、真っ暗になった視界では耳だけが頼りだ。


「蓮⁈ おい、しっかりしろ‼︎ 」

ゆさゆさと雅也が俺の身体を揺さぶる。


すげー力だな…。

声もかなりデカイ。


なのに、

キ─────ン……

いきなりデカくなった俺の耳鳴りに、雅也の大声でさえも負けた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ