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pure love

第8章 相愛

俺の誕生は、親を喜ばせるものじゃなかった。

毎年その日を迎えた事に、異常に感涙する父親。

そして、

”元気に産んであげられなくてごめんね”

泣きじゃくる母親。

泣かずにその日を迎えた事はない。



「凛の誕生日はいつもどんな感じ?」

「”お父さんとお母さんの子供として生まれてくれてありがとう” って抱き締めてくれる」

「……それ、いいな」


俺と凛の誕生日は真逆だ。

笑顔で迎える誕生日…

産まれてきた事を親に感謝されるなんて……

素直に羨ましいと思った。


”元気に産んであげられなくてごめんね”

元気に産まれなくても、

元気いっぱいとはいかなくても、

俺は…

ちゃんと生きてんのに…

謝られるなんて、虚しい。


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