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pure love

第9章 深愛

検査入院の間に迎えてしまった凛の誕生日。

プレゼント…用意出来なかったな……。

病室で、ぼんやりと天井を見上げる。



「結果は…正直あまり芳しくない」


凌太先生に言われた言葉が重くのし掛かる。


─────なんで…

最近、発作も起きてなかったのに……。

─────なんで…

ようやく学校にも普通に通えるようになって、友達も出来たのに…

─────なんで…

初めて…心の底から好きだと想える女に出逢えたのに…

─────なんで…

凛のために、絶対 ”完治” したいのに…

─────なんで…

ちょっと調子がいいからって無理したかなぁ…

─────なんで…

俺は……こんな病気なんだよ?


「なんで……」

1人きりの病室で呟いても、答えなんか返ってこない。

目尻から枕へと零れ落ちた雫を両手で拭い、バチンと頬を叩く。





「そう気にするな。薬を変えて様子を見ていこう」

安心させるように笑ってそう言ってくれた凌太先生。

「凌太先生…この事、凛には言わないで」

俺は、

凌太先生にまで、

凛に嘘を吐かせた……。


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