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pure love

第9章 深愛

バタバタと、廊下を走る足音。

待ち焦がれたその音に、微睡む意識が呼び戻される。


「凛ちゃん! 廊下は走らない!」

「ごめんなさい〜っ!」

年配ナースと凛のいつものやり取りが間近で聞こえる。


ガラッ

「蓮!」

勢いよくドアを開け、待ち焦がれた想い人が姿を現す。


「どうだった?」

ガタガタと椅子をベッド脇へと寄せる凛。


「うん、明後日には退院出来るって」


検査は終わったから、明後日には退院出来る。

今度こそ安静に過ごして、少しでも長く凛の傍に居たい。


しつこく検査結果を聞いてくる凛に、大きな問題はなかったと答える。

─────俺はまた、

凛に嘘をついた。


でも凛、俺はまだ諦めたわけじゃない。

”芳しくない” でも、治らないって言われた訳じゃない。

いつか嘘を本当にしてみせるから…

だからそれまでは、

何も知らずに、大好きなその笑顔で隣に居て……。


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