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pure love

第9章 深愛

「嬉しい…っ…蓮……ありがと……っ」

俺の腕の中で、凛が嗚咽を繰り返す。


─────そんなに、喜んでくれたのかな?

凛の背中を摩りながら、口元が綻ぶ。



小箱の中に納められた二つのリング。

そのうちの、小さい方を大事に指で摘まんだ。


ゆっくりと…

凛の右手の薬指に嵌めていく。


─────ペアリング…

なんて、重かったかな?


将来を約束なんて出来ないし、

それ相応な高価なものは買えない。


だけど、

凛の ”今” と、俺の ”今” を結ぶ何かが欲しかったんだ。



「来年も、その次も、そのまた次も…
ずっとずっと一緒にお祝いしてね?」

「……うん」

縋るような凛の瞳。


「蓮の誕生日もだよ?」

「うん」

キツく握り合う互いの手に、リングがキラリと煌めいた。


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