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pure love

第10章 願い

身体中を触られる感触に、重たい瞼が開く。


「お、起きたか? 肉焼けたぞ?」

聴診器や血圧計を鞄に仕舞いながら、凌太先生が笑う。


窓の外の日差しは柔らかい。

もう夕方くらいだろう。

また、かなりの時間、爆睡してたみたいだ。


「眠気以外は良さそうだな。車酔いも治まったか?」

「あー…寝たら治った」


今度はゆっくり安全運転な凌太先生の運転で、バーベキュー会場へと連れて来てもらった。


「蓮! もう大丈夫⁉︎ 」

すぐに気付いた凛が駆け寄れば、奏たちも食べる手を止めてこちらを伺っている。


「……悪ぃ、寝過ぎた。もう車酔いは治ったから…」


その言葉を待ってましたとばかりに、紘平が口を開く。

「何だぁ、蓮は食えないだろうって肉全部食っちゃった」

「はぁ⁉︎ 」

肉なし⁉︎

それじゃあバーベキューじゃねぇじゃん‼︎


「紘平! 意地悪言わないの。蓮くんの分はこっちに取り分けてあるよ」

そう言って紘平の母親が、皿を渡してくれた。


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