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pure love

第12章 短編・番外編【第一章・大好きな人】

私の姉は29歳という若さでこの世を去った。

彼女とは本当にいろいろあって、

感謝や後悔…

愛情や憎悪……

今でも複雑な想いが拭えない。


29年間のほとんどを病院で過ごした姉。

彼女の命を奪ったのは、長年彼女を苦しめ続けた病だった。


”遺伝的な病気”

治療法の確立していないその病は、

私の身体をも蝕んだ。


この先の命の保証はない。

大好きな凌太との子を授かったというのに、妊娠継続も危ぶまれた。


なのに、

「病気が消えてるんです」

医師から告げられた思いもよらない言葉に、姉の最期の言葉を思い出す。


『こんな病気に苦しむのは私だけでいい。

私が死ぬ時は、美優の病気も一緒に持って行ってあげるから』



なのに、

「凛…が……?」

硬い表情でパソコン画面を見つめる凌太に聞き返したあの日……


”遺伝的な病気”

その言葉が引っ掛かり、まだ幼い我が子に強要してしまった辛い検査。

その結果、娘の凛にその病の ”疑い” が出た。


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